「なんだか気になる流通情報」 vol.17
流通情報学部には、流通、物流、情報、さらには心理学、言語学、文学、日本語教育などを専門とするさまざまな教員が所属しています。
流通情報学部に通うアンリとコウが、毎週ひとりずつ先生をインタビューしていきます!
アンリとコウについては、ロジ×未来サイトをご覧ください。
今週は、
「16~17世紀日本の文化と世界の民俗を、ポルトガル語の古文書によって精査する」 日埜 博司 教授です。
日埜教授の教員紹介はこちら
日埜先生が担当している講義について教えてください。
「1年ゼミ」のほか、2年次必修の「リベラルアーツ演習」と、
「言語論」「文学」「ポルトガル語」(全学部共通)
講義の内容を教えてください。
世紀のわざわい、というべきコロナとの闘いが終わりません。
ヨーロッパから新大陸(南北アメリカ)へ伝わった天然痘、
新大陸からヨーロッパへ渡り、ついには日本を侵してしまった
梅毒など、感染症の歴史をふりかえります。もっともこれは、
コロナ禍における特別編。多種多彩なテーマを扱います。
流通情報所属だからこそ、ネット言論のメリットのみならず
デメリットにも目配りしたい。近ごろのネット犯罪と、本質に
おいてそっくりな事件が、中世ヨーロッパで、そして近代
日本で、現に起こっている。「歴史は繰り返す」。私の実感です。
その講義を受けるとどのようなことに役立ちますか。
高校で少し習ったことを、一歩深掘りする、別の視点から
眺めてみる。すると歴史や文化は、見違えるほどおもしろく
なる。そのことを具体的に実感してもらえるはずです。
日埜先生のゼミについて教えてください。
意見をぶつけあう討論も大事だが、いい本を読み、わかり
やすい文を書くことに、もっと力を注ぎたい。そのような
トレーニングなしに、まっとうな議論は不可能だと思うから。
合宿の旅に出て、皆と親しく話すのも楽しみだ。数年前に
担当した留学生とは、今もそういうつきあいがつづいています。
日埜先生が最近、関心をもっていることは何ですか。
歴史の真実を後世へ伝える最良の手段としての「絵」に
強い興味を覚えています。具体的には、原爆投下直後の
広島の惨状を描いた絵。それを実体験にもとづいて描ける
ひとはまもなく、この世から消滅する。広島平和記念資料館の
呼びかけに応じて、多くのかたがたが、辛い記憶を呼び覚まし、
まなこに焼きつけたことを「絵」に描き遺した。その一枚一枚
が語りかけるメッセージを、若いひとびとと感じたい。
日埜先生が研究をはじめられたきっかけは何ですか。
織田信長や豊臣秀吉の時代、日本はグローバリゼーション
(地球の一体化)の波に洗われました。国際色豊かな織豊
(しょくほう)時代。その文化を「外からの眼」で明らかにする
ポルトガル語の文書が、イタリアやポルトガルに、大量に
遺されていると、高校の先生に教えてもらった。迷わず
ポルトガル語を勉強すると決めた。たとえば、鼻くそをほじくる
のに、我ら(ヨーロッパ人)は親指を使うが、日本人は、鼻孔
(鼻の穴)が小さいので、小指を使う、とのポルトガル語文など、
まさに「外からの眼」ならではの観察ではありませんか。
日埜先生の趣味を教えてください。
温泉探訪と、世界の博物館・美術館巡りです。毎年夏は、
ほぼ一ヵ月、快適なポルトガルに暮らす習わしなのに、
それができない今は、まことにツライ。2020年度は、
家族内感染を避けるため、ひとりで秘湯巡りを実行、
「遠隔」「オンデマンド」授業をつづけました。熱意ある
ひとには、という条件つきですが、好評でした。
日埜先生は大学生のとき、どんなことをしていましたか。
ポルトガル語のプロフェッショナルに、つまり、それで
メシを食えるようになりたい、という意識をもって学び
ました。実利のことしか念頭にないひとと「群れる」のは、
苦痛でした。知的な「おひとりさま」は、結構楽しい。
おもしろい友だちと出逢うチャンスはそうして、むしろ
ふくらみました。
高校生のうちにやっておいたほうがよいことは何ですか。
偏差値とは無関係に、ピカイチの学力・感性を持った
ひとが、RKUには在籍しています。が、総じていえば、
文章を読み慣れていないなぁ、社会的問題に関心が薄い
なぁ、と嘆くことが多い。だから毛嫌いしないで、本・新聞に
親しみ、たまにはガマンして、硬い報道番組でも見たら
いかがですか。
最後に高校生へひとことお願いします。
「高校生のうちにやっておいたほうがよいこと」をもう
一度お読みください。
日埜先生、ありがとうございました。
次回は増田 悦夫 教授にインタビューします。お楽しみに!
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