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「なんだか気になる流通情報」 vol.3

流通情報学部には、流通、物流、情報、さらには心理学、言語学、文学、日本語教育などを専門とするさまざまな教員が所属しています。
流通情報学部に通うアンリとコウが、毎週ひとりずつ先生をインタビューしていきます!

アンリとコウについては、ロジ×未来サイトをご覧ください。

     

今週は、

「世の中に存在する様々な文化現象を捉え、一歩下がって俯瞰的に見つめ直して分析する!」
児玉 徹 教授です。

児玉教授の教員紹介はこちら

児玉先生が担当している講義について教えてください。

国際マーケティング論」と「国際ビジネス論」です。
「食文化から見える世界」に関する模擬授業を公開していますので、
ぜひ見てください。模擬授業はこちら

講義の内容を教えてください。

両講義とも、世界における政治経済の動向を捉えつつ、様々な産業における
ビジネス主体の国際的な活動や、関連する市場動向を考察し、その考察から
国際的なビジネスについて考える多面的な視点を養う、ということを目的に
しています。

本来的に「マーケティング」と「ビジネス」は、密接不可分の関係にありますが、
あえて講義を二つに分けていることから、
国際ビジネス論」では、AI(人工知能)などの情報技術の革新、国際貿易投資、
SDGs(持続可能な開発目標)、起業などについて広い観点から取り扱い、
国際マーケティング論」においては、「国際ビジネス論」でも取り扱う世界的な
動向をふまえつつ、世界で流通する様々な商品(例えば食やファッション、コンテ
ンツなど)に関する様々なビジネスを題材に、個別具体的なケースを取り上げながら、
企業行動、市場、消費者動向、制度、政策、法、SDGsなどに関して取り扱います。

その講義を受けるとどのようなことに役立ちますか。

受講者には、「自らが国際的なビジネスの現場に立つ」ということをイメージ
しながら、「自分であれば、その現場において、どういう知識を使って何をどう
行うのか」ということをシミュレーションできるようになることが期待されます。

児玉先生のゼミについて教えてください。

やってみなはれ」の精神で、学生自身がみずからの頭脳を駆使してとりあえず
やってみることを尊重する、そんなゼミ(でありたい)。

児玉先生が最近、関心をもっていることは何ですか。

自然と人間の共存」です。

児玉先生が研究をはじめられたきっかけは何ですか。

きっかけはいろいろあります。
これまで、複数の大学や企業に所属してきましたが、
完全に自分自身の自由意志で一から自分で研究企画を立ち上げて研究を
実施する場合もあれば、組織の方向性と合わせるかたちで、業務の一貫
として(時に組織から業務命令を受けながら)研究を行うこともあり、それぞれ、
数多く経験しています。

前者のケースについては、特に大学での研究が該当するでしょう。具体的に何を
研究してきたかについては、上記のウェブサイトからご確認ください。

後者のケースについては、例えば、最初に教員として就職した大学(九州の国立
大学)に赴任する直前まで働いていた会社(日本最大手の広告会社)では、日々、
業務の一環として、同会社のビジネス(メディアコンテンツ関連ビジネス)に関連
する様々なことを同時並行で研究調査し、その調査結果を組織内でシェアすること
が重要な仕事の一つでした。

また、スウェーデン政府直轄のシンクタンク(=世界各国の産業政策を調査する公的
機関)の日本支部(駐日スウェーデン大使館内に設置)で政策アナリストをやってい
たときは、日々、スウェーデン政府の重要政策課題(特に産業技術のイノベーション
推進政策に関する課題)に関連して、日本及び他国の政策状況を分析・調査し、調査
結果を英語やスウェーデン語でまとめて、スウェーデン政府の様々な機関に報告しま
した(それら研究調査報告書の一部はインターネット上でも公開されています)。

これらは、あくまでも一例ですが・・・なんだかんだとずっと何かしら研究して
きましたので、研究が好きなんでしょう、結局。。

児玉先生の趣味を教えてください。

「読書、旅行、スポーツクラブ通い」です。
 ただし読書については、「趣味で行う読書」と「研究のための読書」の切り分けが
ないため、読書は、趣味でもあり研究でもあります。
自分の問題意識や興味に関係するものであれば、分野横断的に、様々な分野の
本を読みます。

また振り返ってみれば、時期によって特定分野の本を集中的に読むこともあれば、
時期に関係なく一貫して読み続けている分野もあります。
例えば現在は、取り組ん
でいる幾つかのテーマに関する国内外の書籍を集中して読むことが多い気がします。

むかし広告会社にいたときや、九州の大学にいたときは、メディアコンテンツ産業や
知財法政策などについて研究を行いつつ、「アート」「芸術」「エンタメ」「コンテ
ンツ」と「人間の感動する心」の関係性を自分なりに理解するために、脳科学や認知
心理学、進化論の本を数多く読みました。
(ちなみに、進化論の観点からは、人間が、映画を観たり、音楽を聴いたり、小説を
読んだりして『感動して涙する』能力を身につけてしまったことが、うまく説明でき
ない・・・これはいまだに、私にとって大きな謎のひとつ。)

人間以外の生き物(例:昆虫や植物)の生態に関する本もよく読みます。
人間社会というのは、「人間による価値づけ」の上に成り立つ世界ですが、地球上には、
「人間にとっての価値」とは無縁の壮大な自然世界が広がっています。そうした世界を
知りたい、という欲求は、子供の頃からずっと持ち続けている気がします。

推理小説もけっこう読みます(ここ最近は忙しすぎて読む時間を見つけられていませんが)。
外国の推理小説が比較的多いでしょうか。ちなみに、コナン・ドイル作の「シャーロック・
ホームズの冒険」の英語原作を読んで、その格調高い英文に感動したのが、「英語を
本腰
入れて勉強しよう」と思った最初のきっかけの一つ。

漫画もぼちぼち読みます。もっとも大きな感動を与えてくれたのは、手塚治虫の作品。
手塚治虫は、「人間とは何か」を追求し続けた知の巨人。「火の鳥」全巻、「ブッダ」全巻、
「ブラックジャック」全巻をはじめ、「アドルフに告ぐ」「きりひと讃歌」「陽だまりの樹」
などなど、自宅の本棚に揃えてあります。どれも、何度読み返しても、新しい感動があります。
なお手塚治虫の作品には、「白手塚」と「黒手塚」の二種類があるとされ、もっぱら「白手塚」
を読んできたので、「黒手塚」もじっくり読んでみたいですね。

児玉先生は大学生のとき、どんなことをしていましたか。

毎年、夏休み及び春休みには、海外を1−2ヶ月バックパッカーとして旅行しました。
また様々な分野で「名著」と呼ばれる本をたくさん読み、「名作」とよばれる映画も
たくさん観ました。

高校生のうちにやっておいたほうがよいことは何ですか。

英語の勉
まず、英語情報をそのまま英語で把握することができれば、それは、自分自信を
位置
付けるべき「世界の見取り図」を、より大きく広げることができることに
つながります。

日本に入ってくる「日本語に翻訳された英語情報」は、膨大な英語情報の氷山の一角に
過ぎません(しかも日本語に翻訳されるまでにタイムラグがあるし、翻訳自体が間違って
いることもあります)。
そうした限定的情報のみに頼るのは、色々な意味で、自分自身がつくりあげる世界観を
狭くしてしまいます。
英語ができれば、長いスパンでみて、自分自身にとっての将来の
選択肢が飛躍的に広がる
ことにもつながります。

例えば、みなさんが日本の会社に入社した場合に、英語力があれば、国際的な仕事
積極的に関わっていくことができます。この点は、上述の私担当の講義「国際マーケティング論」
「国際ビジネス論」
にも関係することでもあります。

また、近年、「日本においてグローバル人材をどう育成するか」が盛んに議論されてきま
したが、世界に目をやれば、非英語圏であっても「全高校生が高度な英語力を身につけた
グローバル人材」という国もあります。

例えば、私自身が仕事上で関係していたスウェーデンやベルギーは、「国民の英語力ラン
キング
」において、非英語圏の国としては、世界トップクラスにあります。
こうした国の大学生は、大学卒業後の進路として、ごく普通に「自分の国以外の国で働く
こと」を考えます。大学最終年度での就職活動時に、「ちょっくらロンドンの会社の面接
を英語で受けてくるわ」みたいな感じで。

ロンドンには私も一時住んでいましたが、そこでは、ありとあらゆる国や地域の文化を
背景に持った世界中の若者が数多く集まり、「英語」という共通語のもとで、「自分が
やりたいこと」「自分の夢」に向けて様々なチャレンジを行っています。彼・彼女らに
とっては、それが「当たり前のこと」。
もちろん、「ロンドンで働くことがいいこと」
と言いたいのではなく、世界の様々な国の人と英語でコミュニケーションする能力を持て
ば、それは、自分の将来の将来の選択肢を飛躍的に広げ、より人生を
エキサイティングな
ものにしてくれる「可能性」が
高まる、ということです。

英語力を高めるためには、「効果的に勉強すること」「継続すること」の両方が必要です。
高校生のうちから、ぜひ真剣に取り組んでください。
お、語学の勉強に「終わり」はありません。私自身にとっても語学の勉強は一生続きます。

児玉先生からみて流通情報学部はどんなところですか。

学生にとって、自由にいろいろ面白いことを勉強できる学部だと思います。

最後に高校生にひとことお願いします。

若いうちは、失敗を恐れず、新しいことにいろいろトライしてください。

 

児玉先生、ありがとうございました。


次回は齊藤 隆春 教授にインタビューします。お楽しみに!


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