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どうやってなくす再配達

どうやってなくす再配達

最近、テレビや新聞などで、宅配便の再配達問題が盛んに報道されています。宅配便が配達されたときに不在で、再配達をしてもらった経験は、みなさんもあるのではないでしょうか。宅配便の再配達の割合は、約2割となっています。そして、連絡票が入っていても、なかなか宅配便業者に連絡をしない、配達時間帯を指定していても、その時間にいないという人が多いのも実態です。
このような不在による再配達が多いことは、宅配便業者にとって、悩みの種となっています。再配達のために多くの配達員が必要になるわけですが、人の確保が難しくなっており、配達員の過重労働にもつながっています。国土交通省によると、再配達に必要な労働力は、年間約9万人分に相当すると試算されています。また、再配達のために、トラックが長い距離を走ることになるわけで、環境問題という面からも好ましいことではありません。再配達により年間で約42万tのCO2が排出されていると試算されています。このように、再配達というのは、宅配便業者の配送効率を悪くしているだけでなく、社会経済的損失という側面もあるわけです。
さて、再配達をなくすにはどうしたらよいのでしょうか。大きくは利用者と宅配便会社あるいは通信販売会社との間で、配達日時に関する緊密な情報交換の仕組みをつくる、多様な受取方法ができる仕組をつくるという2つの視点が挙げられます。
再配達の発生要因として、配達が来るのを知らなかったという場合が多くあります。利用者に対して、配達日時の情報提供をすること、さらに配達希望日時の指定や変更を簡単にできる仕組みをつくることが必要といえます。
さらに、宅配便を自宅で受け取る以外のさまざまな方法を選択できるようにしていくことも重要です。不在時に荷物をいれておくことができる住宅用の宅配ボックス、駅、公共施設などの宅配ロッカーを普及していくことが重要です。また、消費者に対する各種サービスの窓口となっているコンビニエンスストアを宅配便の受取場所として活用する方法もあります。
ただし、これらの方策を1つだけ実施しても、解決ができるわけではなく、さまざまな方策を総合的に行っていくことが必要です。また、このような方策だけでなく、本当に必要なのは、利用者の意識改革です。最近、再配達に関する報道によって、利用者の意識も大きく変わってきたといわれています。利用者が、再配達は、さまざまな社会経済的損失を生むということ、さらに再配達にはコストがかかるということを認識し、再配達を少しでも減らそうという意識を高めていくことが最も重要なことです。再配達を減らしていくためには、宅配便業者だけでなく、通販事業者、利用者、さらには行政なども含めて、みんなで考えていく必要があります。