スポーツ健康科学部 諏訪部准教授らの新研究結果が米科学誌に掲載!
流通経済大学スポーツ健康科学部の諏訪部 和也(すわべ・かずや)准教授をはじめ、大槻 毅教授、膳法 亜沙子准教授、吉川 徹准教授が、筑波大学などの研究チームと共同で、軽運動を10分間行うことで記憶力が即時的に向上することを、健常高齢者において初めて明らかにしました。また、運動時に瞳孔径を計測した結果から記憶力向上のメカニズムとして脳内の覚醒機構が関与する可能性を新たに示しました。この研究結果については、アメリカの科学誌「Neurobiology of Aging」に受理され、9月20日付でオンライン版に掲載されています。
◆米科学誌「Neurobiology of Aging」
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0197458023002269
運動には、記憶力を含む認知機能の維持向上効果があり、認知症予防策としても注目されていますが、どんな運動をどれくらい行えば効果があるのか、どのような脳内メカニズムで効果が発揮されるのかはよくわかっていません。加齢による「もの忘れ」の原因の一つに脳の広範囲の神経活動を調節する覚醒機構の低下が考えられていて、諏訪部准教授らの研究では、ゆっくりとしたペースのウォーキング程度の軽い運動が記憶力を高めるか、また、そのメカニズムとして脳内覚醒機構による調節が関与するかを健常な高齢者を対象に検証しました。
諏訪部准教授(写真右) ※実験時の写真ではありません
実験に参加したのは、66~81歳の健常な高齢者21名で、自転車漕ぎ運動を息が軽く弾む程度の低強度で10分間行うと、運動せずに座っていた場合に比べて記憶力が向上することがわかりました。また、運動時に瞳孔が拡大することが観察され、これが記憶力向上を予測する指標となるだけでなく、記憶力向上のメカニズムとして脳内覚醒機構が関与する可能性が示されました。
今後は、低強度運動の長期的な効果を検討するとともに、記憶力向上に効果的な、運動習慣がなくても親しみやすい軽運動プログラムの開発が期待されます。
※研究の詳細については、添付のPDFをご覧ください。
諏訪部准教授は、スポーツ神経科学と体操・体つくり運動が専門で、「豊かな運動プログラムの考案とその効果検証」を研究テーマに、教育・研究活動に取り組んでいます。また、龍ケ崎キャンパス近くのコミュニティセンターで、地域の方を対象に、健康・体力づくりや身心の活力増進を目的とした運動教室を定期的に開催し、学生と共に音楽に合わせた軽運動プログラム「スローエアロビック」の指導にあたるなど、研究成果を社会に伝えるアウトリーチ活動にも力を入れています。
諏訪部准教授と学生たちによる運動教室@龍ケ崎コミュニティーセンター(2023年10月3日)