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「法学部ってどんなところ」vol.5

法学部で身につける実践的な思考力!

「法学部ってどんなところ」では、法学部での学びについて各先生にインタビューしています。今回は、法学部長の周先生にお話を伺いたいと思います。周学部長には、法律学を学ぶことで、具体的にどのような能力を身につけることができるのか、また法学部に進学することで将来どのような進路に進むことができるのかという点についてお話しいただきました。

 

<教員紹介>
周作彩:法学部長・自治行政学科教授
一橋大学大学院法学研究科博士課程、一橋大学法学部講師、
山形大学人文学部助教授を経て本学へ着任

 

―――周先生、本日はよろしくお願いします。将来の進路について民間か公務員かで迷っている学生をよく目にします。そのような場合でも法学部を志望してよいのでしょうか。
周:もちろん問題ありません。むかしから「法学部はつぶしがきく」とよくいわれます。もちろん、弁護士や公務員を目指す人もたくさんいるのですが、人数でいうと民間企業に就職する人のほうがむしろ多いといえます。実際、バブルのころは、優秀な学生は公務員よりも大銀行や商社などに就職していました。私の最初の勤務校でのゼミ生の中にはパイロットになった人もいましたね。

 

―――「つぶしがきく」ってどういう意味ですか?
周:法学部で学ぶことで、公務員だけでなく、民間でも幅広い業種に対応できる力が身に付くという意味です。なぜなら法律の知識や法律を運用する能力というものはどのような職業においても役に立つものだからです。

 

―――それはどういうことですか?
周:まず、当たり前ですが法学部で学ぶことにより法律の知識を身につけることができます。大塚哲也先生の「私たちの暮らしと法律」にも述べられているように、法律を多少でも知っていると、自分や身の回りの人が紛争に巻き込まれないよう気をつけて、より豊かで安心な世の中を作ることができます。

 

―――なるほど。法律を知らないで生活するということは、交通ルールを知らないで自動車を運転するようなものですね。
周:まあ、ちょっと大げさにいうとそうともいえますね。それから法律を学ぶことで知識だけでなくいわゆる「法的思考力」を養うことができます。

 

―――「法的思考力」とはなんですか?
周:法律のルールを具体的な事実に当てはめて一定の結論を導き出すことにより、紛争に関係する人々を説得することのできる能力のことです。世の中で起きている問題を適切に解決するための能力というとわかりやすいかもしれませんね。

 

―――大塚先生は「法律はトラブルを解決するための道具」だとおっしゃっていました。法律を学ぶことで問題を解決する能力が身につくということですね。この能力は具体的にはどのようなものなのでしょうか?
周:では少し順を追って説明しましょう。まず、日本にはおよそ2000ほどの法律があり、その中には数え切れないほどの条文が含まれています。そのため、法律を使って事件を解決するためには、まず問題のありかにあたりをつけ、数ある法律のなかから適切な条文を選び出すことが必要になりますよね。

 

―――問題を発見し適切な条文を見つけ出すということはとても重要そうですね。
周:その通りです。ですがそれだけではまだ足りません。法律の条文の中には専門用語なども多く登場するので、条文の意味を解釈し、事件を解決するために必要な法的なルールを正しく導き出す能力も必要になります。

 

―――法律の条文の解釈というとやはり難しそうに感じてしまいます。
周:安心してください。法学部の授業では基礎から丁寧に条文の読み方などもお教えしますので、ゆっくりと一緒に勉強していきましょう。ところで、条文を解釈したら今度は、実際の事実のなかから条文を適用するために必要な事実を見つけ出し、証拠に基づいて事実を認定することが必要になります。これも法的思考力の重要な要素です。

 

―――それでようやく法律を使って事件をようやく解決することができるようになるのですね。
周:実はこれで終わりではありません。社会で起こる事件を適切に解決するためには、説得力のあるフェアな結論を導き出す能力も欠かせないのです。ある意味で「人間力」もまた法的思考力の一要素です。

 

―――「法的思考力」というのは総合的な能力なのですね。
周:そういうことです。法学部に入ると、問題の所在をいち早く見つけ出す「問題発見能力」、法解釈の際に必要となる「論理的思考力」、裁判のように答えを導き出す「問題解決能力」、当事者を「説得する能力」、フェアな結論を紡ぎだす「バランス感覚」などの法的思考力を身につけられるようになります。

 

―――「法的思考力」は民間企業でも必要とされるものなのでしょうか?
周:もちろんです。公務員の仕事はもちろん民間企業で働く場合にも、日々様々な問題が生じることになりますので、これを解決するための能力は極めて重要なものとなります。「法的思考力」は、金融業や不動産業にとどまらず、まさにどのような職業においても必要とされるものといえましょう。

 

―――私は、法律学について条文を暗記するだけの学問だと思っていましたが、今日のお話を聞いて法的思考力を身につける学問であることが分かりました。将来の進路についても幅広く考えられるのも魅力的です。周先生、今日はありがとうございました。