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宅配便取扱量の拡大と人手不足

宅配便取扱量の拡大と人手不足

2015年度の宅配便取扱個数は、37億4,493万個となっており、2014年度に比べて3.6%、10年前に比べて30.3%増加しています。宅配便は、企業から企業への書類の送付、通信販売のような企業から個人、あるいは親戚からみなさんの家に果物が届くといった個人から個人といった様々な形で利用されています。最近の通信販売、特にネット販売の進展により、企業から個人向けの宅配便個数が増えており、通信販売関連の荷物は宅配便全体の約4割程度を占めていると推測されます。そして、このような個人向けの配達は再配達が多いなど、企業向けに比べて、効率が悪く、そのため、配達員の数が多く必要となります。
一方、人手不足という言葉が、最近よく聞かれます。コンビニあるいは飲食店などでも、人手不足が深刻化しており、ファミリーレストランなどでも、営業時間を短縮した企業などがあります。宅配便サービスにおいては、みなさんの家に荷物を配達する人、物流センターで荷物の仕分けをする人、さらに長距離輸送のための大型トラックのドライバーなど多くの人が必要となります。宅配便の取扱個数が増えると、そのために人手を増やさないといけないのですが、確保できない、あるいは確保できても人件費が高いといったことが問題となっています。また、宅配便の取扱個数は、月によって大きく変化します。特に12月は繁忙期になり、一番少ない1月の1.61倍の取扱量となります。このような繁忙期だけ、人手を多く確保するのは難しいという問題もあります。そのため、特に繁忙期においては、早朝から夜遅くまで働かないと、荷物を運びきれないという問題が発生し、過重労働が大きな問題となりました。
ネット販売は利用者にとって、とても便利であり、今後も市場が拡大していくことが予想されます。しかしながら、それを支える宅配便業者においては、人手をなかなか確保できないという問題から、これ以上取扱個数を増やせない、従来のサービスでは提供できないという問題が発生しいてます。どのように効率的に配達するか、さらに再配達の無駄をなくすかなどについて、宅配便業者だけでなく、利用者のみなさんも含めて、様々な知恵を出し合っていくことが求められています。

流通情報学部教授 矢野裕児
ロジスティクスシステム論、災害ロジスティクス論、ロジスティクス実践講座、ロジスティクス企業訪問講座、ダイレクトマーケティング実践講座を担当

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