最新情報

  • TOP
  • 最新情報
  • 『物流が危機!!注文したのに届かない?!』

『物流が危機!!注文したのに届かない?!』

『物流が危機!!注文したのに届かない?!』

最近、宅配便が大きな問題となっています。これまで、ネット販売で、商品を頼めば、翌日には皆さんの家に商品が運ばれるのが当たり前でした。これが当たり前ではなくなるかもしれません。

宅配便のサービスが誕生してから、約40年がたちます。宅配便の取扱個数は、毎年増え続けており、2015年度の宅配便取扱個数は、37億4,493万個となっています。これを日本の世帯数で割ってみると、約70個となり、平均すると、各世帯では1週間に最低でも1個以上の宅配便を受け取っている計算になります。そして、ネット通販利用の拡大もあり、宅配便最大手のヤマト運輸は、2016年度の取扱個数が、前年度比で8%増になる見込みとしています。

さて、宅配便をこれ以上運べないということが大きな問題となっています。宅配便サービスを提供するには、配達員など多くの人手が必要となります。取扱個数が増えれば、配達員を増やさなければいけませんが、その人手をなかなか確保できません。また確保できたとしても、人件費が高くなっており、とてもお金がかかる状態になっています。このような状況のなか、ヤマト運輸が総量規制を検討しているという報道がされました。具体的な内容は発表されていませんが、宅配便の受け入れ個数を制限するというものです。

また、宅配便の配達で大きな問題となっているのは、特に再配達の問題と時間指定サービスです。利用者が不在で再配達をしている比率は約2割となっており、宅配便事業者にとって大きな負担となっています。これを削減するため、宅配ボックスの設置など、様々な方策がとられています。また、時間指定についても、配達の効率を悪くする可能性があり、昼間の利用は少ない一方で、夜8時以降の利用は集中する傾向にあり、これらのサービスの見直しも検討されています。

私たちの生活で欠かせないサービスとなっている宅配便ですが、現在様々な問題を抱えています。もちろん、あなたの荷物が運ばれないということがすぐに起きるわけではありません。しかしながら、私たちの生活を支えている物流サービスの重要性をみんなが認識すること、そして再配達などが大きな負担となっていることを改めて考える必要があります。

流通情報学部教授 矢野裕児 
ロジスティクスシステム論、災害ロジスティクス論、ロジスティクス実践講座、ロジスティクス企業訪問講座、ダイレクトマーケティング実践講座を担当