法学部
自治行政学科 坂野ゼミ
- 教 員
- 坂野 喜隆(サカノ ヨシタカ)教授
- 専門分野
- 行政学、地方自治
- 所属期間
- 3年次〜4年次 通年
- 構 成
- 16名
- キャンパス
- 新松戸キャンパス
※取材時(2025年1月8日)の情報に基づく

学生主体で挑むフィールドワーク
地域とつながり、行政を動かす力を育む

坂野 喜隆教授
4年 武井さん
坂野ゼミってこんなゼミ
行政学・地方自治を専門とする坂野先生の指導のもと、実際の自治体と連携したフィールドワークを通じて、行政の仕組みや地域課題への理解を深めます。吉川市、松戸市、龍ケ崎市などでの勉強会やイベント企画、ヒアリング、広報活動などを学生主体で実践していきます。現場での職員や地域住民との関わりから、机上では得られない「生きた学び」を体験。将来、公務員や地域に関わる仕事を志す学生にとって、現実に触れながら成長できる貴重な場となっています。
坂野ゼミでは、どんな活動をしてきましたか?
武井:坂野ゼミでは、年間を通じて自治体の現場に深く関わるフィールドワークに数多く参加させていただきました。具体的には、吉川市の市役所担当課との勉強会や市民との交流、松戸市の「広報まつど」の制作に参加したり、龍ケ崎市の「龍ケ崎ミーティング」への参加(市議会議員・職員との意見交換、発表)など、本当にさまざまな地域の課題に触れ、政策を実地で学ぶ機会をいただきました。

坂野先生:私自身、地方自治体の方々とお付き合いする機会が多くあり、そのご縁で、学生を現場に連れていくことができています。ただ、私が前に出てしまうと、どうしても先方も気を遣ってしまうので、フィールドワークは基本的には学生主体でやってもらっています。現場に入って、自分で考えて、人と関わって。そこで得られる経験というのは、教室では絶対に学べないもの。それに地域の人たちと一緒に何かをやった、役所の人と本気で議論した、そういう経験があれば、それはきっと将来、心の支えになると思うんです。だから私は、そういう「記憶に残る学びの場」をつくってあげたい。そんな思いで、このゼミを続けています。
ゼミ活動を通じてどのような学びを得られましたか?
武井:フィールドワークでは、自治体の職員へのアプローチやスケジュール調整など、学生が主体となって進めていくんですが、最初は正直、かなり大変でした。自治体や地域の方に、どう伝えればうまく伝わるのか悩むことも多かったです。でも、そうした調整や説明の経験が、自分自身を大きく成長させてくれたと思います。
また、実際に行政に携わる職員の方々と一緒に活動してみて、行政の仕事って本当に多面的で、地域によって考え方ややり方が全然違うんだなと実感しました。なかでも埼玉県の吉川市での取り組みは印象深いです。地域コミュニティの活性化や住民自治組織の仕組みづくりをテーマに、市の職員や地域の方々と勉強会やイベントを企画・運営しました。ヒアリングや広報活動にも関わらせてもらい、自治体ごとの運営の違いや、人口規模による政策の特色についても、現場で学ぶことができました。
坂野先生から見た、武井さんの成長はいかがでしたか?

坂野先生:武井さんは本当に優秀な学生でした。ゼミ内での調整役もよくやってくれて、後輩の面倒もしっかり見てくれましたね。本当は自分ひとりで進めたほうが早い場面も多かったと思いますが、そこをぐっとこらえて、後輩に任せて、きちんとフォローしていた。その姿勢が、組織の中で人と協力しながら動く力につながっていったと思います。
また、自治体の職員や地域の方々と関わるうちに、彼の中に“社会人としての感覚”が芽生えてきたのを感じました。相手への配慮や、場の空気を読む力、そういったことは教室では教えられない部分ですが、現場を通じて自然と身につけていったんだと思います。そうした経験の積み重ねが評価されて、吉川市役所への就職にもつながったんですよ。
吉川市役所に就職されるんですね?
武井:はい。埼玉県の吉川市役所に就職が決まりました。就職活動では、ゼミで得た知識や現場での経験が大きな強みになりました。ゼミでの活動を通じて地域コミュニティや住民自治のあり方に関心を持ち、吉川市でのフィールドワークでは、実際に職員の方や地域の皆さんと関わる中で、「ここで働いてみたい」と思うようになりました。市のイベントや地域組織の企画にも参加させていただいて、ヒアリングや広報の現場にも立ち会うことができて。本当に貴重な経験でしたし、自分の進みたい方向が明確になったのも、この実地の学びがあったからだと思います。いまはまだ配属先は決まっていませんが、できれば町内会や自治会など、地域とのつながりを深めるような仕事に携わっていきたいと思っています。
坂野先生:武井さんには、これから社会人として歩んでいく中でも、ゼミで学んだ「人と協働する力」を大切にしてほしいと思っています。自分ひとりでやれば早いことも多かったはずのことも、後輩に任せて、教えながら、全体を見て動いてくれた。その姿勢が、これからの組織の中でも大きな強みになるはずです。現場では、教科書通りにいかないことがたくさんあります。そういうときこそ、人とのつながりや信頼関係がものを言う。吉川市での経験は、その意味でも非常に貴重だったと思います。これから行政の現場で働くなかで、ぜひ「現場の声に耳を傾けること」「自分の役割を俯瞰して捉えること」を忘れずにいてください。そして、初心を忘れずに。地域の人と一緒に何かをつくっていく――その喜びを、どうか大事にしてほしい。私はいつでも応援しています。頑張ってください。
武井:ありがとうございます。