経済学部 大学院 経済学研究科

渡部 恒彦

渡部 恒彦

渡部 恒彦(ワタナベ ツネヒコ)

WATANABE Tsunehiko

学位:経済学修士

所属 (学部・職位・学内役職)

経済学部 大学院 経済学研究科 教授

連絡先/ホームページ

twatanabe@rku.ac.jp

学歴/経歴

立教大学経済学部卒業
立教大学大学院経済学研究科博士後期課程を単位取得満期退学
1988 年本学経済学部専任講師,2000 年より現職

趣味
スポーツ全般。但し最近は踏み台昇降,エアロバイク漕ぎのみ。クラシック音楽鑑賞。

担当科目

経営財務論・証券市場論・1 年演習・大学院経営財務論特攻。

授業・ゼミ

1 年演習 :春学期はテキストを使って,論文・レポートの書き方の基本をゼミ生にレジュメをきってもらいながら学び,秋学期は,経営・経済関係の基本テキストを 1 冊選んで輪読し,各テーマについて議論し合います。
経営財務論:(A)アメリカ企業の目的は株価を上げることでした。投資家は株を買った時よりも高く売れば売買益を手に入れることができます。経営者はそうした投資家の投機(期待)に懸命に応えようとしていました。それは,株主を軽視し,従業員の仕事の習熟に資金を費やし,良品を創るための研究開発にこそ資金を活用してきた従来の日本型経営とは異なります。(B)こうした従前の日本型経営の特徴のひとつとして,事業展開を決めるのも,取締役を選ぶのも代表取締役社長であって,株主は株主総会でその人事案を追認するだけでした。株式には議決権が付与されているので株主は制度面ではまぎれもなく会社経営を動かす力を持っています。しかし日本では代表取締役社長が圧倒的な権力を誇ってきました。ところが,特に21世紀に入って,アメリカの機関投資家が配当を増やすよう要求する等の動きに対し,株主の利益を重視した経営が日本企業でも追求されるようになってきました。(C)ところが株主重視のアングロ-アメリカン型経営の宗主国,合衆国で2019年頃から情勢が変わります。会社の使命を営利ではなく社会貢献に見出すミレニアル世代の揺さぶりを受けて,経営者は多様な利害関係者に配慮し,特に社員への分配率を上げる等,「社会の分断化回避」のための従来にない動きを見せ始め,株価至上主義との決別さえ迫られているのです。周回遅れの日本の経営者も,こうした合衆国での新動向を受けて,改めて企業統治を考え直さざるをえなくなっています。講義では,こうした問題も考えてみます。
証券市場論:証券市場というと,まず証券取引所のことを頭に浮かべ,証券会社のことを考えるでしょう。しかし本講義の根底にあるのは,株式証券市場に限れば,それは株式会社制度の一環であるという考え方で す。証券市場は他のあらゆる理由を超えて,株式会社企業の資本の調達‧運用のための装置です。その装置の仕組みを最初に具体的に説明します。次いで株式価格‧債券価格の決まり方の概要,それとの関連で株式投資 の尺度,株式会社と証券取引所をめぐる日本の制度について解説します。

研究・専攻分野

経営財務論,証券市場論,アメリカ経済論

研究テーマ

現代合衆国を中心とするグローバル・ネットワークにおける巨大株式会社の所有と支配

著書・論文・研究発表

《共著》

  • 坂本恒夫‧佐久間信夫編,企業集団研究会著(1998)『企業集団支配とコーポレート‧ガバナンス』文眞堂,所収,第7 章「「コーポレート‧ガバナンス」論における株式「市場の規律」とその前提:1980 年代金融バブルの教訓」
  • 日本経営財務研究学会編(1998)経営財務研究双書 18『コーポレート‧ファイナンスの理論と実証』中央経済社,所収,第 7 章「1980 年代アメリカ合衆国における好況の性格と買収‧合併運動:純投資の抑制と投機的買収・合併に関する実証分析」
  • 坂本恒夫‧佐久間信夫編,企業集団研究会著(2003)『企業集団と企業間結合の国際比較』文眞堂,所収,第2 章「アメリカ合衆国における産業連関と取締役兼任ネットワーク」
  • 丑山優‧熊谷重勝‧小林康宏編(2005)『金融ヘゲモニーとコーポレート‧ガバナンス』税務経理協会,所収,第 9 章「機関投資家の投資行動とアメリカ経済の持続可能性:短期主義的な株主重視政策の矛盾」

 

《主要論文》

  • 「1970 年代~1980 年代におけるアメリカ経済の構造的変化と買収・合併:企業者の期待形成を中心に(1)(2)」(1994)『 流通経済大学論集』 Vol.29, No.2, No.3
  • 「チェース‧マンハッタン銀行「チェース‧グループに属する石油会社の財務分析」にみるアメリカ系石油資本の縮小とその帰結」(1995)『流通経済大学論集』 Vol.30, No.1
  • 「アメリカ合衆国における産業連関と取締役兼任ネットワーク:産業連関説とそのデータ的検証の可能性」(2001)『流通経済大学論集』 Vol.35, No.4
  • 「Dodd-Frank「法の論理」の混乱とその収拾の必要条件としての経済政策:CDS の市場価格決定プロセスの特徴を手掛かりとして(上)(下)」(2012)『流通経済大学論集』 Vol.47, No.3, Vol.47, No.4
  • 「Keynes の慣行的判断と株式相場の推移:期待の自己実現の利益とポートフォリオ‧マネジャー及び証券アナリストの情報操作規制(上)(中)(下)」(2015) 『流通経済大学論集』 Vol.49, No.3, Vol.49,No.4, Vol.50, No.1
  • 「現代合衆国を中心とするグローバル・ネットワークにおける巨大株式会社の所有と支配:序説 : 「独占は投機の死」(R. Hilferding)に伏在する逆説としての企業が「投機の渦巻きに翻弄される泡沫」(J.M. Keynes)と化す可能性および新システミック・リスク,あるいは支配者層内部の亀裂(上・中・下)」(219,2020)『流通経済大学論集』Vol.54, No.1, Vol.54, No.2, Vol.54, No.3
  • 「Jacques Attali のいわゆるグローバル・システミック・リスク : 量的金融緩和政策によるインフレーション亢進の可能性に関する一考察」(2019)『流通経済大学論集』 Vol.54, No.1
  • 「暗黙の了解」に基づく合意による「議決権の事実上の共有」と共有議決権(shared voting power)によって支えられた相対的個人大株主層一般による「構造的」支配の実効性 : 21 世紀における「グローバル・ネットワーク中枢」在合衆国居住金融機関5 社の専門経営者を中心とする「個別的」支配とその他の株式会社の相対的個人大株主層一般による「構造的」支配から実質的な「個別的」支配への再転化」(2020)『流通経済大学論集』 Vol.55, No.1

所属学会

日本経営学会 証券経済学会 日本経営財務研究学会 日本財務管理学会 日本マネジメント学会

社会貢献活動

学生へのメッセージ

生涯学習という言葉をしばしば耳にしますが,事実上余裕を持って勉学に励める時期は学部卒業を前提にするなら,学部4年間で,また人生を決定づけるのは25歳まで生き方であるという統計もあります。これも再就職を別とすれば,学部4年間が最後のモラトリアムだということを意味します。メグ・ジェイの「人生は20代で決まる」という本があり,その中では脳の成熟やパーソナリティーの形成,仕事選びから生涯賃金のレンジ,生涯つきあう友人,いずれもが20歳台でに決まるというインパクトのある話が書いてあるそうです。どうか皆さん,それぞれに有意義な最後の学生時代を送って下さい。