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【国際文化ツーリズム学科・授業紹介4】「観光産業論」授業内容紹介

国際文化ツーリズム学科ではこれまでに授業紹介シリーズの記事を3件載せてきました。

荒川先生「English for Global Communication
谷口先生「地域マーケティング論
山崎先生「プロジェクト学習

今回の記事では那須野が担当する「観光産業論」の授業内容を一部わかりやすく紹介します。


●「観光産業論」とは?
 「観光産業論」では、観光産業を構成する旅行・宿泊・運輸の各産業、テーマパークや文化施設、土産品・飲食サービスなど様々な産業について、そのビジネスモデルを考察します。各産業の概説にとどまらず、脱・旅行産業を目指すJTB、星野リゾートのサービスマネジメント、ピーチアビエーションなどLCC(Low Cost Carrier:低費用航空会社)のビジネスモデル、ハウステンボスの進化といった具体的事例を交えて理解を深めます。これにより、観光産業を論理的かつ体系的に検討します。ここでは、主な論点を紹介します。

●論点1:大手旅行会社の生き残り戦略は?
 2000年代以降、旅行商品を店舗販売してきた大手旅行会社は、経営で苦戦を強いられるようになりました。なぜなら、楽天トラベルやBooking.comなどOTA(Online Travel Agency:オンライン旅行会社)の台頭に伴い、旅行商品をインターネットで購入できるようになったためです。
このため、例えばJTBでは、①観光地の開発(ジャングリア沖縄への出資など)、②MICE(ビジネスイベント)の運営代行、③宿泊施設向けデジタル化支援、④人材育成支援、といった旅行以外の事業拡大を目指しています。10年後には、粗利益に占める「旅行以外」事業割合を50%に伸ばすという目標を立てています。大手旅行会社は、「脱・旅行代理店」を目指しているのです(図1)。

●論点2:宿泊産業は「稼げる産業」に変革できるか?
 急増する訪⽇外国⼈旅⾏客にとって、ホテルや旅館は欠かせません。しかし、宿泊産業では、生産性の低さと人材不足が大きな課題となっています。2022年、年間賃金を見ると、全産業平均は497万円ですが、宿泊産業は346万円です(図2)。簡単にいうと、年収が150万円安いのです。このため、人手不足が深刻化しており、せっかく多くの観光客が来ても、ホテルや旅館の客室を100%稼働できない状況も見受けられます。
 幸い、解決の糸口は見えつつあります。解決策の1つ目は、「泊食分離」の動きです。つまり、ホテルや旅館は「宿泊」のみに特化し、宿泊客に「食事」は外で済ませてもらう取り組みです。これにより、ホテルや旅館は「食事」に人手を割かずに済みます。宿泊客も街で地域の食事を満喫できます。解決策の2つ目は、訪日外国人旅行客の増加です。彼らは、都市にとどまらず、地方(飛騨高山や城崎温泉など)に向かうようになっています。この需要をうまく取り込めば、宿泊産業が「稼げる産業」に変革できるかもしれません。

     

    ●国際文化ツーリズム学科で「観光産業論」を学んでみませんか?
    皆さんは、観光産業というと、華々しいイメージを持つかもしれません。しかし、観光産業は多くの課題を抱えています。これらの課題をきちんと解決した上で、日本の「観光立国」政策を支えていくことが求められています。

    執筆者:那須野 育大(国際文化ツーリズム学科 准教授)


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