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法学部で広がる未来の自分の可能性 第21回                     ~契約も友情も恋愛も!民法を学べば世界が変わる!!~

みなさんこんにちは。今回の「法学部で広がる未来の自分の可能性」では、「民法」の授業を担当されている、法律学科の阿部先生にお話をお聞きすることができました。民法とはどういう法律なのか、また民法を学ぶことにどのような意義があるのか、具体例を交えながらお話ししてもらいましたので、ぜひご覧いただければと思います。


――本日は、阿部先生が教えていらっしゃる民法という法律がどのようなものなのか教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
阿部:こちらこそよろしくお願いします。早速ですが、もし私が今回のインタビューの約束の時間に遅れたりして、あなたが何か余分な出費を強いられたとしたら、どのように感じますか?

――もちろんお話を伺えるのはありがたいですが、余分な費用がかかるのは少し嫌ですね。
阿部:やはり余分な出費の分を返してほしいと思いますよね。そんなとき、あなたの権利が保障されるよう法的に基礎づけているのが、民法という法律なんです。

――民法によって権利が法的に保障されるということですか?
阿部:はい。たとえば、先ほどのケースでは、あなたには余分な費用分の損害賠償を求める権利が民法によって認められますので、あなたは裁判を通じてその賠償を受けることができるようになります。

――なるほど、それは大変助かりますね。
阿部:ちなみに、民法は広く私たちの生活一般のルールを規定していますが、なかでも契約をしたとき、その契約当事者が何をしなければならないか、あるいは何ができるのかを定めたルールであるという特徴もありますね。

――ということは、民法を学べば契約に関するトラブルに強くなれるってことですか?
阿部:そうですね。昨今はとくにお店で物を買うだけでなく、フリマアプリやSNSを通じた個人間での取引の機会も増えています。そういった場面ではとくに、民法の定めるルールの中身はもちろん、その仕組みや考え方を知っていることにも大きな意味があります。

――それはどういうことですか?
阿部:まず、基本的なこととして、契約自由の原則というのですが、私たちの社会では、ある契約をするとき、契約当事者はそのルールを自由に決めることができます。法律と聞くと「絶対従わなければいけない」というイメージがあるかもしれませんが、契約の当事者は民法の定めるルールとは異なるルールを契約で作り出すこともできるんです。

――契約の内容を人々は自由に決められるということですね。
阿部:そういうことです。そうだとすると、どんなルールの下で取引をするのか、どういうルールを作れば予めトラブルを回避できるのか、トラブルが起こったときにできるだけ不利益を被らないようにするにはどうすれば良いか、などといったことは、基本的には自分たちで考えなければならないということになります。

――そのようなことをいちいち考えながら契約を結ばないといけないのは、少し大変そうですね。
阿部:そう思いますよね。ですが、民法を学んでいると、自分が結ぼうとしている契約に関して、どのようなトラブルが発生する可能性があるのか、また、その解決方法をどうすれば良いのかを予測することができるようになります。

――具体的にはどういうことでしょうか?
阿部:たとえば、物の売り買いであれば、商品が届くのが遅れることや、届いた商品が破損していたり、商品が説明や写真と異なっていることが考えられますが、民法には、このような場合に誰がトラブルの責任を負うことになるのか、責任を追及するためにどのような条件が必要なのかについての基本ルールが定められています。ですので、これを参考にすれば、どういう内容の契約を結べばよいのか見通しを立てられるようになります。

――契約をする際の注意点を知ることができるというのは重要なことですね。
阿部:そう思っていただけると嬉しいです。ですが、これらの事は実は大学で民法を学ばなくても、ネットで「契約 気を付けること」とでも検索すれば3分で読める記事が出てくるかもしれませんし、フリマアプリに出品するくらいであれば、それで事足りるかもしれません。

――確かに、ネットで調べればわかることもたくさんありそうですね。
阿部:はい。ですが、大学で民法を学ぶことにはもっと重要な意義があると私は思っています。それは民法のルールとその考え方を通じて「衡平の感覚」を養えるということです。

――それはどういうことでしょうか?
阿部:民法は、人々の関係が対等であることを前提として、その対等な当事者が衡平にリスクを負担するよう配慮しており、一方の当事者に過度な重い負担や不合理なリスクを背負わせることがないようなルールが作られています。

――民法のルールは衡平な内容になっているということですね。
阿部:はい。ですが、我々は人間ですから、自分の利益ばかり追求して相手に不当な要求を飲ませようとする人もいますし、逆に自分の考えに自信がなく、不当な扱いを受けても「自分が悪いのかも」と泣き寝入りしてしまう人も出てきます。

――それはあまり良いことではないように思うのですが、どうすれば良いのでしょうか?
阿部:取引において衡平とは何か、対等な関係であれば相手に何をどこまで要求できるのか、そういったことを学ぶことが大切なんだと思います。そして、そのためには、民法のルール、その仕組み、考え方を学ぶことが非常に大切です。なぜなら、民法は明治時代に制定されて以来、当事者間の衡平が実現されるよう、判例や学説などを通してその考え方が綿々と練り上げられているからです。

――衡平な取引を行うためにも民法を学ぶことが必要ということなのですね。
阿部:その通りです。そして、私たちがルールを作る場面は、何も契約の場面だけではないことにも注意をしてください。例えば、お付き合いするパートナーとの関係でもルールがあるはずです。「SNSで異性とやり取りをしないでほしい」「連絡はマメにしてほしい」といったものから「洗濯するのは自分の係だけど、服の干し方に文句を言わないでほしい」「相手ももう少し生活費を出してほしい」など、対等な人間関係を築こうと願っているパートナーに対して要求したいことは増える一方で、どこまでが過度な要求なのかわからず相手も自分もイライラもやもや…なんてことないですか?

――確かにそういう話はよく聞きますね。
阿部:そんなときも民法の学びは役立つはずです。なぜなら民法は衡平なルールのお手本のようなものだからです。民法を含め法律を学ぶことは、相手と自分の意思を尊重し、対等で衡平なよりよい関係を築くためにとても役に立つんですよ。

――なるほど、民法を学ぶことは、いい人間関係を作るためにも大切なんですね。今日は民法についてとてもよく知ることができました。阿部先生、どうもありがとうございました。


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