RKU Leader’s View vol.3 「経済学部のすすめ」 吉村 聡
経済学部のすすめ
経済学部とは、一体どんな学部でしょうか。また、経済学部では何を学ぶことができるのでしょうか。さらに、経済学部で勉強することのメリットは何でしょうか。
経済学部は、文系の主要学部として、国公立、私立を問わず多くの大学において設置されている学部です。また、経済学部と学問分野が似た学部も多くあります。例えば、経営学部や商学部などです。そこでまず、経済学部で学ぶ内容について見ていくことにしましょう。
私たちの社会では、そこで暮らしていくために必要な物やサービスが作られ、それが消費され、その対価としてお金が支払われています。経済学部では、こうした物やサービス、そしてお金の流れ、すなわち経済活動の仕組みについて分析し、これを論理的に説明します。ところで本学の経済学部には、経済学科と経営学科という2つの学科があります。では、両者の違いはどこにあるのでしょうか。オープンキャンパスなどでも、受験生からたびたび質問される内容です。経済学科では、日本国内だけでなく世界中で行われている経済活動の仕組みについて学びます。具体的には、マクロ経済学、ミクロ経済学、金融論、財政学などが学びの内容となります。さらに、インフレやデフレ、好景気や不景気、株高や株安など、実際に社会で起こっている問題(ニュース)に経済理論を当てはめて、1つの答えを導き出します。すなわち経済学を学べば、社会で起きているさまざまな問題について、その善し悪しを判断する力を養うことができます。最近話題となっている円安などは、まさにそうした問題の1つでしょう。「なぜ円安は起きるのか」、また「円安が進むと日本はどうなるのか」などです。海外旅行を考えている人にとっては、円安はとりわけ大きな問題となります。「円安は我々の生活にどのような影響を及ぼすのか」について考えてみましょう。
一方、経営学科では、企業における組織運営について学びます。「企業が発展するために必要となる運営の仕方とは何か」、「利益を増大するために必要なことは何か」、「顧客に商品を効率的に販売するために必要なことは何か」などについて、答えを導き出します。具体的には、経営学総論、会計学、マーケティング論などが学びの内容となります。また、経営学の知識はビジネスの場面だけでなく、学校やスポーツチームといった、身近な組織においても実践されています。したがって、経営学を学べば、それがスポーツにおけるチーム作りにも利用できるということです。
経済学(経済学科)と経営学(経営学科)との違いは、学びの対象の違いであるということができるでしょう。経済学では社会全体(国や世界レベル)を構成する個々の主体の相互関係や相互作用が学びの対象であるのに対して、経営学では活動をする個々の主体が学びの対象となります。
ところで、大学時代にどの学部で何を学んだかが、卒業後の進路に影響します。一般に、経済学部(経済学科・経営学科)は、他の学部や学科に比べると就職に強いといわれています。その理由は、経済学や経営学はきわめて実学志向が強い学問であるからだと思われます。すなわち、そこでは理論だけでなく、現実の活動について実践的な内容を学ぶことができるからでしょう。卒業後の進路としては、銀行、証券などの金融関係やメーカー、流通など、さまざまな業種があげられます。
経済学部のことについてご理解いただけましたでしょうか。興味を持った方、ぜひ、経済学・経営学にチャレンジしてください。
【執筆】吉村 聡 流通経済大学副学長(入試担当)/経済学部長/経済学部教授
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程を経て、1990年本学経済学部専任講師。2002年より同教授(現職)、2018年より経済学部長(現職)、2021年より副学長(現職)
専攻は会計学