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法学部で広がる未来の自分の可能性 第10回 〜物流関係法を学ぼう〜

皆さん、こんにちは!第10回目となる今回の「法学部で広がる未来の自分の可能性」では、流通経済大学法学部の特色ある科目として、「物流関係法」を紹介します。物流と深い関わりのある流通経済大学ですが、この「物流関係法」はどういった科目なのでしょうか。この科目を担当する法律学科の大西先生にお聞きしてみましょう!



―――大西先生、本日はよろしくお願いいたします。早速ですが「物流関係法」とは、どういった法律なのか教えていただけますか?

大西こちらこそよろしくお願いします。実は、「物流関係法」は、法律の名前ではありません。流通経済大学法学部に設置されている科目の名称で、文字どおり、物流に関係する法律を幅広く学んでいく科目になります。

―――流通経済大学法学部に特有の科目でしょうか?

大西他の大学に同様の科目がないとまでは言いませんが、「物流関係法」という名称で、かつ、物流に関係する法律を幅広く扱う科目を設置する大学は珍しく、物流に縁が深い流通経済大学らしい科目といえます。

―――ありがとうございます。では、改めてお聞きしますが、「物流関係法」では具体的にどんなことを学ぶのですか?

大西私たちは、日常生活の中で、道路をトラックが走っているのをよく見かけますし、街中でトラックが荷物の積卸しをしている光景にもよく出くわします。そのため、物流というと、トラックで荷物を運ぶことをイメージする人が多いと思います。

―――物流というと、たしかにそういうイメージですが、間違っているのでしょうか?

大西もちろん、そのイメージは間違いではなく、トラックで荷物を運ぶことも物流です。ただし、トラックによる陸上の運送はあくまで物流の一翼であって、「物流=トラックでの運送」では必ずしもありません。

―――これ以外にも色々な物流があるということですか?

大西はい。私たちは普段、直接その光景を目にすることはあまりありませんが、多くの荷物が、海上を船により運ばれ、また、空でも飛行機により運ばれています。これらも物流ですし、大きな倉庫で荷物を保管することも物流です。

―――なるほど!今まであまり意識していませんでしたが、色々な形の物流があるんですね。


大西そのとおりです。そのため、「物流関係法」では、陸・海・空の運送に関わる法律や倉庫の営業に関わる法律などを広く学びます。

―――授業ではそれらのすべてを学ぶことができるのでしょうか?

大西大変申し訳ないのですが、大学では授業の回数が限られていることから、どうしてもすべての法律を万遍なく扱うことはできません。そのため、中でも特に、海上運送に関わる法制である「海商法」を中心に学んでいきます。ちなみに、この「海商法」ですが、これも法律の名前ではなく、海上運送に関わる法分野の名前です。

―――どうして、物流の中でも海上運送に関わる法分野である「海商法」を中心に学ぶのでしょうか?

大西理由は大きく2つあります。まず、1つ目の理由は、私たちが住んでいる日本が四方を海に囲まれているからです。

―――日本のような島国では、「海商法」が重要だということですか?

大西はい。日本と外国が陸続きではない以上、日本が外国との間で物のやりとりをするには、船か飛行機を使うしかありません。しかし、飛行機では多くの物を一度に運ぶことはできません。つまり、日本から外国へ、また外国から日本へ大量に物を運ぶには船に頼らざるを得ず、日本における国際物流の主役は海上運送だからです。

―――たしかに、そのとおりですね!

大西私たちは日常生活の中で多くの外国製品を使用していますが、そのほとんどが船によって日本に運ばれてきています。普段は意識することがなくても、私たちの生活は、実は海上運送によって支えらえています。

―――だからこそ、「海商法」を学ぶことが大切になるということですね。

大西そうです。次に、「海商法」を中心に学ぶ2つ目の理由ですが、「海商法」の歴史はとても古く、海洋という大自然と闘いながら海上運送を発展させてきた人類の長年の知恵が詰まっているからです。

―――それはどういうことでしょうか?

大西考えてみてください。航空運送を担う飛行機ですが、飛行機は誕生してからまだ1世紀と少しくらいしか経っていません。同様に、現代の陸上運送を担う自動車や鉄道も、決して歴史が古いわけではありません。それに対して、船による海上運送は古代から行われてきました。

―――たしかに、飛行機や自動車、鉄道と比べると船の歴史は長そうですね。

大西はい。また、海上は、波が荒れ、強い風が吹き、どうしても陸上より危険です。そのうえ、船は一度に多くの荷物を運ぶことができるため、事故が発生して船や荷物が海に沈んでしまうと、陸上での事故とは比較にならないほどの大きな損害が発生します。

―――船に事故が起きたときの損害は、想像できないほどのものになりそうですね。

大西ええ。それでも海上運送を維持・発展させるために、人類は知恵を絞り、法制度という面からも危険や損害を克服してきました。それゆえ、「海商法」には陸上の世界にはない特殊な制度が多くありますし、危険や損害を克服するのに優れた制度であることから、保険や株式会社のように、海上運送の世界で生まれ、後に陸に上がって一般化した制度もあります。ただし、株式会社の起源には諸説ありますが…

―――「人類の長年の知恵が詰まっている」というのはそういうことなのですね。

大西そうなんです。つまり、「海商法」を学ぶということは、海上運送に関する法制度を学ぶにとどまらず、危険や損害を法制度によってどう克服していくかを学ぶことでもあります。

―――ありがとうございます。最後になりますが、物流企業の志望者でなくても「物流関係法」を学んだ方がよいでしょうか?

大西現代の私たちの生活において、物流はインフラです。物流がなければ、お店には商品が何1つ並ばないことになりますし、インターネットショッピングをしても買ったものが自宅に届かないことになります。物流企業の志望者にはもちろん学んで欲しいですが、物流企業の志望者ではなくても、物流は私たちの生活に不可欠なものなので、自分には関係ないと思わず、物流とその法制度にも関心をもって学んで欲しいです。

―――社会に不可欠な制度は学んでおくに越したことはありませんね。

大西実際に、皆さんも宅配便等で誰かに荷物を送ることがあると思います。つまり、物流の当事者になる場面もあるわけなので、「物流関係法」を学んでおいて損はありません。

―――物流関係法は実践的な学問だということですね。

大西はい。さらに、先に述べたように、「物流関係法」には物流の枠を超えた、危険や損害を法制度でどう克服していくかという学びもあるので、危険や損害に対する法の役割や人類の知恵を実感することができ、面白さを感じることができるのではないかと思います。

―――大西先生の話を聞いていると、私も今すぐにでも「物流関係法」の授業を履修したくなってきました。大西先生、本日は本当にありがとうございました。


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