自分たちの困りごとを解決する「じぶん研究」に取り組み中です。-社会学科の「心理学」
社会学科の2年ゼミ(担当:山岸)では、4人程度のチームに分かれ、各チームメンバーの悩みや、困りごとを解決するための「じぶん研究」に取り組んでいます。今回の研究の第一の特徴は、自分たち個人の困りごとに焦点をあてていることです。第2の特徴は、困りごとを数値化して、対策の効果を数値として見られるようにすることです。これにより、単なる印象による評価ではなく、より客観的な評価を行うことができるようになります。
1.各チームは、ある特定のメンバー、あるいは複数名のメンバーのどの困りごとについて研究するのかを決めます。
2.その困りごとについて、どうしたらその問題を解決できるのかについて、対策案を考えます。
3.いったん冷静になって、個人別に対策をする前の状態を記録・測定します(対策前)。
4.次に対策を実施して、対策前の状態から変化するのか、あるいはしないのかを記録・測定します(対策を導入)。
5.困りごとを抱えた本人の希望する方向に変われば、問題解決に向けて大きな前進となります。
6.希望する方向に変わらなければ、それは解決のためのヒントです。それを元にして、次の対策を考えます。本人にとって無理なく長続きする対策を考えることも重要です。
7.対策案を一人で考えてもアイデアが浮かばなくても心配いりません。チームのメンバーと一緒にアイデアを出し合います。
8.こういった「じぶん研究」を通して、日常生活の問題を解決するためにどうしたら良いか、さらに、単なる印象を聞くだけでなく、数値として問題を測定し、その変化を追うことで、より客観的にその対策の評価を行うことができることを学びます。
上の図は、Aさんの仮想データです。対策前と比べて、対策Aを導入することでどんな変化が生じるのかをグラフ上で確認します。確実な変化がグラフ上で確認できればOKです。また、Aさんに効果があっても、Bさんには効果がないということもあります。その場合には、Bさんに別の対策が必要になるでしょう。このように個人別に対策の効果を測定する実験手法を、シングルケースデザインといいます。心理学のさまざまな領域で利用されています。
今回は、「早起きが苦手」「就活に向けた課題の取り組みが進まない」「オンラインの課題を期限内に提出するのを忘れてしまう」などの困りごとについて、毎日データを取りながら、どんな対策が効果をもっているのかについて、各チームで研究に取り組んでいます。