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国際観光学科教員によるエッセイ~国内での異文化間コミュニケーションとは?~

執筆者:澤海崇文(国際観光学科准教授)

※国際観光学科は2023年4月より国際文化ツーリズム学科に名称を変更します。(届出済)

 国際観光学科の澤海です。最近、全国ツアー(注:全都道府県への旅)を無事に終えることができました。昨年10月から全国ツアーを開始し、中断する時期もありましたが、今年8月に最後の大分県を訪れ、全国ツアーを完遂しました。旅をしている中で気づいたのはGoogleマップのタイムラインという素晴らしい機能で、私がこれまでに訪れた都市を自動的に記録してくれるものです(GPSオンにしたスマートフォンを常に持ち歩いていたため)。本稿では 多くの地域に訪れた際に、そこで生活している人とやり取りする中で感じたことをつづっていきます。特に国内での異文化間コミュニケーションというトピックで記事を書いていきます。


図1:Googleマップのタイムライン機能の様子

異文化間コミュニケーションと聞くと、多くの人は海外の人とのやり取りをイメージするかもしれませんが、国内であっても文化が違えば異文化です。地域の違いや性別、年齢の違いによっても異文化となりえます。今回の旅では特に離島に行ったときに異文化を感じましたが、本州にいても異文化を感じました。

一例として、新潟市に滞在していたときのことです。美容室でヘアカットをしてもらっていたときに、担当の女性美容師が非常に話好きだったせいか、カットやシャンプー中もずっと話が途切れませんでした。新潟の人は社交的なのかなと思いつつ、別の日には蜂蜜専門店に訪れた時のこと。店内にいた女性スタッフと全国ツアーの話をしていたら店の奥から強面の男性が突然現れてきて、一瞬戸惑いましたが、どうやら会話に加わりたかったようで、その後30分以上話し込んでいました。港がある都市(新潟港)は多くの人が行き来するから社交的になりやすい、という説はあながち間違いではないのかもしれません。初対面の人とここまでたくさん話をするというのは最近の東京ではなかなか経験できないものでしょう。

別の例として、都会に比べて田舎では時間がゆったりと流れていると思います。都会にいるときと比べ、田舎では歩行者の歩くスピードが比較的ゆっくりだと感じました。都会、特にビジネス街において見られるような11秒を争うように歩く人は、田舎ではほぼ見受けられませんでした。これに関して今年のある授業でアンケートを取りました。

 

友達と別れ際に「後でLINEするね」と言われた。

何分後/何時間後/何日後を予測するか?

というシンプルな質問です。これに対して受講生からの回答を下にまとめました。本授業の受講生の間であってもここまで回答に幅が見られます。ここから何が言えるのかというと、「後で」という言葉がイメージさせる時間は人によって大きく異なるということです。日本人同士のコミュニケーションというのはあいまいな表現が多いもので「後で」「十分に」「適切に」「できるだけ早く」といった言葉はよく耳にします。しかし、ビジネスにおいてはこのような言葉遣いはできるだけ避けるべきです。たとえば締め切りを設定するときには、具体的に明示することが肝要です。なぜならば上記の例のように、一つの言葉であっても人によってイメージする時間が異なるためです。

 
表1:某授業でアンケートを回答してもらった時の結果

 さて、本稿では国内での異文化間コミュニケーションについて、社交性、時間感覚を軸に説明してきました。本学の国際観光学科の私の授業では、現在の在学生および今後の入学生に対してこのような学習内容を伝えていければと思います。