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オンラインによる企業訪問の実施


 流通経済大学流通情報学部では、毎年、産学連携によるロジスティクス企業訪問講座を実施しています。
しかしながら、今年度は新型コロナウイルスの影響により、現地を実際に訪れる企業訪問ができないため、施設映像などを取り入れ、オンラインによる授業を実施しました。今年度は6カ所実施しましたが、9月に実施した前半の3カ所を紹介します。


①物流の歴史を知る物流博物館

 物流博物館は、物流を社会にアピールすることを目的として整備され博物館で、中世から現代に至る物流にかかわる
歴史上の重要な資料が展示されています。
 当日は、物流の言葉の由来から始まり、映像資料を使って以下の説明がありました。
 1950年代の荷役は主に人が運搬して鉄道貨車や船舶に積み込んでいましたが、この頃からフォークリフトが導入され、
1959年には5トンコンテナが本格運用され鉄道でのコンテナ列車の導入と合わせて輸送の合理化が進められました。
一方、トラック輸送は1950年代から長距離の路線トラックが登場し、その後、高速道路の整備とともにトラック輸送が
進展し、仕分け作業の自動化なども進みました。海上輸送は港の沖合に停泊する貨物船から小さな船(はしけ)に積み替えて運搬していましたが、国際海上輸送では1967年以降、コンテナ化の進展と港でのコンテナを積み降しするガントリークレーンの導入により荷役の機械化、省力化が進み、貨物量が増大しました。

 これまで物流がどのように発展してきたのか、その歴史について映像資料を使って分かりやすく説明していただきました。

          5トンコンテナの導入                  日本初のコンテナ専用特急     
  

          羽田空港での航空貨物                 はしけから貨物船につみこむ
  
 注)映像は物流博物館収蔵のもの


②小売業の物流を知るカスミ 佐倉物流センター

 カスミは、茨城県つくば市に本社を置くスーパーマーケットチェーンを展開する企業です。店舗数は、茨城県を中心に、千葉県、埼玉県、栃木県、群馬県、東京都で計189となっています。カスミ佐倉物流センターは、2016年に佐倉精肉加工センターを併設して稼働しています。
 当日は、カスミ佐倉物流センターの役割の説明の後、以下の説明がありました。
 物流センターでは、車両の積荷情報、センターの構内作業や配送作業などの情報を逐次把握できる取り組みを進めています。センターでは、最大12箇所での同時仕分けを可能とし、店舗側の立場にたってカテゴリー別の仕分けを行なっています。
チルド室では、温度帯エリア別に従業員の行動履歴を可視化するシステムを導入しています。カスミ専用容器の貸し出しにより流通効率化と段ボールの削減を図るなど、環境にも配慮しています。ドライ品の在庫センターでは店舗側の発注コントロールによる物流効率化を目指しています。今後、人口減少、フードロス問題など様々な環境変化が予想されているなかで、物流改革に取り組んでいます。

 メーカー、卸売業から納入される商品を、どのように仕分けし、各小売店舗に納品していくのか、小売業の物流センターの
仕組みを実際のセンターの動画を用いて、わかりやすく説明していただきました。

          カスミ物流センター                    カテゴリー別の仕分け
  

          トラックバースの風景                  マテリアルごとにリサイクル加工
  
 注)映像はカスミが制作したもの


③ネット通販の物流を知るイーロジット 埼玉草加フルフィルメントセンター
 イーロジットは、通販物流代行と物流コンサルティングなどを行い、関東を中心に7箇所の物流センターを運営しています。埼玉草加フルフィルメントセンターは、2021年6月に開設した同社で最も新しい物流センターです。フルフィルメントとは、消費者がオンラインで商品を「注文→受取」するときに発生する業務全般のことを指します。
 当日は、通信販売を取り巻く状況の説明の後、以下の説明がありました。
 物流の流れとして、荷物の着荷→検品(数量・状態)→入庫計上→棚入れの順となります。例えば、ワインの入庫作業では、キャップの傷、シールの剥がれ、ビンの傷、ラベルの剥がれ、異物混入の有無を確認し、温度管理のワイン倉庫で保管しています。出荷工程は、ピッキング→検品(デジタル)→梱包→出荷の順となります。保管されている商品は種類がとても多く、ピッキングし易いように視認性の高さや商品の重さにも配慮して棚置きをし、ピッキングの動線を考慮して順路を設定しています。
ピッキングは、オリジナルの出荷伝票を利用し、保管場所や数量などを見ながら行ない、終了後に作業者がサインしています。検品は、出荷伝票のQRコードと商品ごとのバーコードを使ってデジタルで行なっています。梱包は、数量チェックの上で納品書を入れ、商品により流通加工(プレゼント品のラッピングなど)も行なっています。

 皆さんが使っているネット通販の物流の仕組みがどのように行われているのか、実際の作業風景について動画を用いて
説明していただきました。

          ビジネススキームの説明                 入庫作業(ワイン)の説明
  

          流通加工工程の説明                  フルフィルメントサービスの説明
  
 注)映像はイーロジットが制作したもの