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法学部ってどんなところ?「日本国憲法で世の中を「アップデート」する!」

日本国憲法で世の中を「アップデート」する!

みなさんこんにちは!
 「法学部ってどんなところ」では、みなさんに流通経済大学の法学部をもっと知ってもらうために、法学部の授業ではどういったことを学んでいるのかについて、授業を担当している先生方にインタビューをしていきたいと思っています。
今回は、憲法がご専門で「憲法」の授業を担当されている自治行政学科の前田先生がインタビューに答えてくださいました。
多くの方は高校生のときに政治経済などの社会科系の授業で日本国憲法を学んでいると思いますが、憲法が私たちの日常生活にどのように関係しているのか疑問に思ったことはありませんか?今回、前田先生には、憲法と私たちの日常生活の関係についてというテーマでお話を伺いたいと思います。

 

 <教員紹介>
前田 聡:法学部教授
筑波大学卒業後同大学院人文社会科学研究科を経て、2008年に本学に専任講師として着任。
専門:憲法学

 ―――高校の授業で「日本国憲法」を勉強したんですが、憲法が私たちの毎日の暮らしにどう関係するか実はよくわかりませんでした。
前田:確かに、国会や内閣や裁判所なんて私たちにとってはちょっと縁が遠い気がしますよね。でも、憲法が保障している「人権」は、ちょっと目立ちにくいですが、私たちの暮らしを支えるものとして、結構密接に関係しているものなんですよ。

 ―――どう関係しているんですか?
前田:たとえばみなさん、好きなアーティストやYouTuberっていたりしませんか?小説家でも詩人でもいいです。こうした人たちの作品や動画に触れることができるのは、アーティストさんたちの表現の自由や、私たちの知る自由(憲法21条)が保障されているからにほかならないからなんですよ。

 ―――意外なものが憲法と関係しているんですね。ほかにはどんなところで憲法は私たちの暮らしと関係しているんですか?
前田:みなさん、将来「公務員になりたい!」とか「○○になりたい!」なんて希望があったりしませんか?自分が好きな職業につくことができるということを当然のように考えている人が多いと思うのですが、歴史的に見るとこれはそれほど当然の話ではありません。今日、私たちが好きな仕事につくことができるということも、憲法と全く無縁の話ではないのです。憲法が保障する職業選択の自由(憲法22条)と強く関係するお話です。

 ―――当たり前だと思っていたことが実は憲法と関係しているってことですか?
前田:そう。私たちは、水や空気と同じように「好きなアーティストの音楽を聴く」「好きな職業につく」ってことを受け止めているかもしれませんが、こうした「当たり前」が「当たり前」であり続けるためのルールを定めているのが憲法といえるかもしれませんね。

 ―――そう考えるとなんだか憲法が少し身近に感じられるようになりますね。
前田:そう思っていただけるとうれしいです。ですが、実はこうした「当たり前」を守るだけではなく「当たり前でなかったことを当たり前にする」って役割も、憲法にはあるんですよ

 ―――え?!どういうことですか?
前田:ちょっと前まで、結婚していない男女の間に生まれた子を差別的に取り扱う法律があったのですが、これが憲法の保障する「法の下の平等」に反するとされたり、外国に住んでいる日本国民が日本の選挙に投票できないことはおかしいと訴えて、最終的に制度を変えるに至ったケースなどがあるんです。

 ―――そんなこともあるんですね。
前田:そうなんですよ。これらのケースは、憲法が保障する「法の下の平等(憲法14条)」さらには一人ひとりの人間を大切にするという「個人の尊重(憲法13条)」という考え方に基づいて社会を見ることで、「この社会の仕組みはおかしいぞ」って気付くことができたケースということができるでしょう。

 ―――ということは、憲法を知ることが社会を変えるきっかけになることもあるってことですか?
前田:そういえるかもしれませんね。憲法を知ることによって、ある「当たり前」がいかに大事なのかを知ることにもなるでしょうし、別の「当たり前」が実はおかしいことに気付いたりもできる。憲法を知れば知るほど、世の中を「アップデート」することに貢献できる人になれるかもしれませんね。


―――私たちの暮らしと憲法の関係が分かり、もっと憲法のことを知りたいと思うようになりました。前田先生、本日はありがとうございました。