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法学部西島教授[強行法と任意法]に関する論文を寄稿

本学法学部の西島良尚教授が、近江幸治・椿寿夫編著『強行法・任意法の研究』(成文堂、2018年9月刊行)の中で「10 典型契約・冒頭規定の強行法性」(227頁~256頁)を寄稿されていました。

本論文集は、東北大学(仙台)で開催されます日本私法学会・メインシンポジウム(本年10月14日(日)9時30分~17時)「強行法と任意法―民法財産法を中心として」における基礎資料論文集です。

「契約」は、どこまで当事者が自由に締結できるのか。「契約自由の原則」の下で、契約に関する民法の規定は多くの場合「任意法」とされる結果、実際上「契約」は経済的な強者の「自由」が優先されがちなのが現状です。それを、どこまで、どのように、公正なものに修正するために「強行法化」できるのか。そもそも、契約の拘束力である「自由な意思」や「自由な合意」とはどういうものなのか。私たちの生活にも深く関わる民法を中心とする私法の根本問題に関する論文集です。

上記の問題に関連して、同じく西島教授の「マンション管理における訴訟上の権利行使と規約自治の限界」マンション学58号(日本マンション学会誌・2007年11月)43頁以下の論文があります。同論文で、西島教授は2018年5月の日本マンション学会(於:北海道大学)で「研究奨励賞」を受賞されました。

マンション総会での多数決の意思に基づく「規約」を中心とした「意思決定」がどこまで「自治」に委ねられるのか。この場合は、多数決による団体的意思決定が、どこまで反対派の少数者をも拘束するのかなど、民主主義の問題にもつながる特有の問題を含みます。多数決による「自治」が、様々な場面で標準的な枠を定める「法規」にどこまで優先するのかという問題です。

上記いずれの問題も、まさに、当事者の「意思」が優先するのか(任意法)、法規が優先するのか(強行法)、「優先する」という事はどういうことなのか、その区別の基準を何に求めるのか、など共通の重要で困難な問題を含んでいます。