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ドローンは宅配便を変えるか

ドローンは宅配便を変えるか

現在、物流においては、ドライバー不足が深刻となっており、大型貨物車については、自動走行の実用化の検討が進んでいる一方、端末の各家庭などへの輸送については、ドローン利用の実現が期待されています。
アメリカのネット販売会社は、ドロ-ンによる各家庭へ配送する近未来の姿を公開しているほか、さらに、飛行船に商品を積み込み、空中からドローンで商品を届ける輸送システムも構想しています。ドローン配送サービスについて、様々な企業が提案をしており、その構想がすぐにでも実現しそうな印象を与えますが、まだ世界的にも、実証実験段階で、まだ端緒に就いた段階といえます。
2015年11月に、日本政府は「早ければ3年以内(2018年内)にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す」と宣言しました。実現化に向けて、安全性の確保として、目視外飛行等における安全確保、国民の不安の解消が重要としており、基礎的性能の向上、事業採算性の確保として、飛行可能な距離・時間を伸ばすこと、雨や風等に対する耐候性や耐久性の向上等、物流での活用を見据え基礎的な機体の性能向上を図ることが、事業化の鍵になるとしています。
ドローンの利用レベルは、レベル1(目視内・操縦飛行)、レベル2(目視内)、レベル3(離島・山間部等の無人地帯での目視外)、レベル4(都市部等の有人地帯での目視外)があります。レベル3、レベル4に到達するためには、高度な制御技術が必要であるほか、各種法制度の整備も必要となります。経済産業省などは、2017年1月に、福島県南相馬市の海岸において、世界初となる、完全自律制御による回転翼ドローンでの長距離荷物配送の飛行実証試験を実施するなど、実現化に向けての検討が進んでいます。
現在、ドローンの物流での実用化の可能性が高く、かつ期待されているのは、過疎地などへの輸送です。過疎地においては、宅配便業者の集配における負担が大きくなっている一方、宅配サービスの重要性が高まっています。
しかしながら、現状のドローンの飛行条件は制約が大きく、雨天、強風時には飛べないということも多いのが実態です。ドローンによる配送が難しい場合に備えて、トラックを用意することは、宅配便業者にとってはかえって大きな負担となりかねないという問題もあります。ドローンが安定的な輸送手段となるためには、まだまだ技術革新が欠かせないといえます。また、ドローン利用について、個人宅に直接配送する手段として紹介されることも多いのですが、現実的には個人宅に、個別に発着場所を確保することは難しいと考えられます。例えば集落単位で、場所を設定し、さらに各場所に管理者を置くといった方策もあわせて考える必要があります。
ドローンが実用化されるまでには、技術的な課題、法的な課題が、まだ数多く残っており、それらの解決が必要ですが、将来的にドローン利用が実用化することが期待されています。