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急成長する中国のネット通販と宅配便

急成長する中国のネット通販と宅配便

 日本で大人気のネット通販ですが、お隣の中国ではもっと凄いことになっています。経済産業省の調査によれば、中国の2015年のネット通販販売額は約67兆円に達しています。これは、日本の約9兆円の7倍以上、アメリカの約34兆円の2倍近い規模です。
中国のネット通販市場は世界最大です。それだけでなく、ネット通販の浸透率も世界最高です。小売販売総額に占めるネット通販の比率をみると、日本では5%弱であるのに対し、中国では15%程度と推定されています。独身の日(11月11日)と呼ばれる大バーゲンセールをやったり、ウェブアプリでチャットを導入したりするなど、先進的なマーケティング手法や技術が導入されています。
 ネット通販の配送を担う宅配便(中国では快逓便)も凄いことになっています。中国の新聞報道によれば、2015年の宅配便取扱量は対前年52%増の140億個になりました。毎年このような高い成長が続き、中国の宅配便市場では日本では考えられないような紛失、事故、盗難等が日常茶飯事になっています。
 国土が広い中国の宅配便事業では、各地域に地盤を持つ事業者がフランチャイズ契約により同一ブランドで全国をカバーする方式が一般的です。中国政府の調査によれば、残念ながらフランチャイズ方式の宅配便に対する消費者のクレームが多い状態になっています。
 最近では、自社で全国にトラック、ターミナル、営業所等のネットワークを整備する直営方式の事業者が高サービスを売り物に急成長しています。なかには、航空機を所有して、国内急送サービスを手掛ける事業者も出現しました。
一方、ネット通販事業者のなかには、宅配便事業者と協力しながら全国規模の急送ネットワークを整備する動きもあります。実店舗を兼営するネット通販事業者のなかには、実店舗から独自の配送ネットワークを築こうとするものもあります。
 急成長する中国市場は、日本のネット通販事業者や宅配便事業者にとっても魅力的です。皆さんが中国内で関連業界に就職することはもちろん、日本から越境ネット通販で起業することも夢ではないかもしれません。

流通情報学部教授 林克彦
ロジスティクス・ビジネス論、国際物流実践講座、全国通運連盟寄付講座、2~4年ゼミ担当