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学術研究

四国巡礼とサンティアゴ巡礼の協定締結について

2015年の9月1日に、四国巡礼とサンティアゴ巡礼との協力協定が、ガリシア州の州都サンティアゴ・デ・コンポステーラで締結されました。私が参加している科研「四国遍路の学際的総合研究」は、四国遍路を歴史的宗教的視点のみならず、国際的視点からも比較考察し、四国遍路という観光資源を介した地域振興、国際交流も目的としています。その関係で科研のメンバーも、サンティアゴ・デ・コンポステーラに赴きました。
ヨーロッパ・キリスト教世界との国際的比較の上で、格好の素材となるのが、ローマ、イェルサレムと並ぶ中世ヨーロッパの三大聖地の一つ、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指すサンティアゴ巡礼です。サンティアゴ巡礼はパリからでも片道1600キロメートルに達する「苦難の長旅」で、ヨーロッパ近代の価値観が揺らぎ始めた1980年代以降、全世界から多くの巡礼者を集めています。四国巡礼とサンティアゴ巡礼の協定締結を伝えた、9月1日付のスペインの地方紙「ラ・ボス・デ・ガリシア(ガリシアの声)」によれば、2014年、サンティアゴ・デ・コンポステーラを訪れた日本人巡礼者数は1095人で、一昨年に比べ23パーセント増とのことです。スペインは今年、観光競争力でフランスを抜き世界一になりましたが、これを裏付けるように、2014年にスペインを訪れた日本人観光客は46万人以上に達しました。
四国巡礼とサンティアゴ巡礼の協定締結は、伝統的な観光資源である巡礼を介した地域振興、国際交流の一例です。サンティアゴ巡礼路は1993年に「世界文化遺産」に登録されており、それと提携した四国巡礼路も「世界文化遺産」として登録される可能性があります。観光のもつ多様性と大きな可能性を示すものとして、国際観光学科の学生や国際観光学科を志望する高校生に、ぜひ関心をもっていただきたい協定です。

社会学部 関哲行