学びSCOPE 身近な1つのモノゴトから、多様な9学科をのぞこう。学びSCOPE 身近な1つのモノゴトから、多様な9学科をのぞこう。

SCOPE#1 FOOD

流通情報学科

“人間+社会+自然”の深い関係性が
見えてくる、食の多角的な見つめ方
スイス・ジュネーブのレマン湖を横断する船上での写真:
背後に世界遺産登録されたぶどう畑が広がる

食文化産業の
クリエイティビティ(創造性)を捉える

食やコンテンツ、アート、ファッション、デザインなどに関連した産業群を、「創造文化産業(Cultural and Creative Industries)」または「クリエイティブ産業(Creative Industries)」と呼ぶことがあります。人は、創造文化産業が生みだす様々な商品から、自らの感性・感覚に直接的に働きかける価値を見出し、その対価としてお金を支払います。
私はこれまで、創造文化産業に強い関心を持ち、経営学(マーケティングやブランディングなど)や政策学(文化政策や産業政策)、法学(知的財産法)、認知・知覚心理学などの観点から、考察を行ってきました。
近年は、創造文化産業の中でも、特にワインやチーズ、茶などを含む食文化産業の研究に力を入れてきました。例えばワイン。研究対象としてのワインの魅力に取りつかれた私は、ここ数年の間で、国内外の様々なワイン産地やワイン関連イベントで現地調査を実施しました。
ワインは実にクリエイティブ(創造的)な商品です。例えば、「このワインは美味しい」という感覚や、「このワインを買ってしまった」という行動には、創造的でダイナミックな人間心理が深く関係しています。この人間心理を巧みに操りながら、店舗やレストランを含むワイン関連企業は、巧妙なワイン販売戦略を展開しています。
ワインは、原料となるブドウを栽培し、収穫したブドウを醸造することで、つくられます。この一連の生産過程は、ワイン生産者にとって、「自然の力」を借りながら行う「ワインという『芸術作品』の創造」に他なりません。ここでは、人間と自然環境の協働関係を如何に保つかが重要になります。
そして、一つの地域にワイン生産者が集積すれば、ワイン生産は産業として発展し、その地域に大きな利益をもたらします。このため、世界の様々な国や地域が、ワイン生産を重要産業として捉え、ワインを国内市場で流通させるだけでなく、広く世界に流通させるための様々な戦略・政策を展開しています。

このように、「味」「美味しさ」の人間心理に始まり、生産・流通の仕組みや、自然環境保全、地域経済の発展、産業政策や輸出戦略の推進など、多様な視点から食を考え、理解すること、そうした場を、流通経済大学で、皆さんと共有できればと思います。
PROFILE

流通情報学部
流通情報学科 教授
児玉 徹 先生

<専攻>

創造文化産業(Cultural and
Creative Industries)、
マーケティング、知的財産、
文化・産業政策

先生が担当するゼミテーマ
商品企画
ビジネスコンテスト参加
このお話に関わりのある授業
国際マーケティング
クリエイティブ産業論

高校生の皆さんへ

世界は途方もなく広く、自分がこれまでに見たことも聞いたこともない無数の事象に溢れています。狭い世界や価値観に囚われることなく、大きな夢を抱いて、未知の世界に果敢にチャレンジしてください。