初心者揃いのチームが、まさか勝つとは思わなかった。
僕は腕を組んだまま、涙をグッとこらえていました。子供達が一度も勝てなかった相手チームに勝利して泣きじゃくるのを眺めながら。全員が初心者、学年もバラバラ、勝利など夢のまた夢だった弱小女子バスケチーム。しかし、自分がコーチになって4カ月、彼女達は心身ともに驚くほど成長してくれたんです。そして、コーチをしていて感じたのは、子供を指導して勝利へ導くのと、経営者が社員をまとめて業績を上げていくのは似ているなということ。それを教えてくれたのが経営学の授業でした。
バスケの指導と経営学が、つながった先に見えたもの。
中でも鮮明に覚えているのが、震災をテーマにした「消費者行動論」の授業。東日本大震災が起きて、どの企業も収益が悪化すると思われた2011年、某有名テーマパークは前年より収益を伸ばしたと聞いたんですね。その裏には、冷え込んだ消費者心理に働きかけて行動を促す経営戦略があったと知り、「ピンチをチャンスに変える姿勢が、今のバスケチームにも活かせるな」と。
さらに成功した企業経営者について学んだ「経営学総論」では、ワンマンなイメージだった経営者が、自ら動き、どんな意見にも耳を傾ける姿を見て「まず指導者が動けば人はついてくるのか」と。以来、バスケでも上から指図せず、いいプレイを見つけて褒めるうちに本当に試合に勝てるようになった。そして今はこの経験が、“人を伸ばすコーチング”という卒業研究につながっているんです。
バイト先での在庫管理も、僕にとっては大事な学び。
実は僕は物流のゼミに所属しているのですが、“コーチング”という異分野の研究を認めてくれた先生には感謝していますね。しかしその先生に言われた「どんな道に進もうとも物流は関わってくる。頭の片隅に置いておくように」という言葉はすごく印象に残っているんです。確かに震災の時は、物流が途切れたことで水さえ店頭に届かなかった。バイト先の弁当屋でも、食材の在庫管理がおろそかになれば弁当一つ提供できず、逆に発注しすぎると経営の負担になる。「ああ、先生が言っていたのはこういうことか」と、フライを揚げながら考えたりするのは楽しくて。“モノが普通に届く”という、今まで疑いもしなかった日常の裏には「一体何があるんだろう?」と見直すことから、違う景色が見えてきたところですね。
支えてくれた多くの人を、支えられる自分になる。
春からは、“喋れる”という自身の強みを活かし、フォークリフト製造会社で営業として働きます。そして喋れるきっかけになったのは、バスケのコーチをしたり、入学式の司会を任せてもらったり、何より岩手から出てきた僕に「何でも頼って」と支えてくれた先生がいたりと、人とのつながりがあったからだと思うんです。だからこそ今度は仕事で一人前になり、その人達を支えられる自分になりたい。体当たりで学んだコーチングや物流の知識を現場で活かせるよう、まずは多くの人と関わることから始めていきます。
田口君よりひとこと
流通情報学科4年
田口 蓮
REALな一問一答
- 出身地 岩手県
- 血液型 ?型
- 星座 みずがめ座
- 趣味 バスケットボール、スポーツ観戦
- 出没スポット ラーメン屋
- 好きな音楽 洋楽中心に聴きます
- 好きなアーティスト 邦楽ならケツメイシ、Perfume 洋楽ならDavid Guetta、Katy Perry
- 好きな食べ物 カレーライス、ラーメン
- 今一番行きたい国 USA
- 尊敬する人物 プロバスケットボールプレーヤーのTim Duncan
- 最近一番うれしかったこと バスケを教えている子たちが試合で勝ったこと
- 最近一番悲しかったこと 年々、体重が減り、男らしさが薄れていること
- 自分を動物にたとえると カメ
- 休日は何をしている? 小学生にバスケコーチとして指導しています
- 無人島に一つだけ持っていくとしたら 何も持っていかない
- 子供の頃の夢 学校の先生
- 10年後、何をしている? 人との繋がりを感じて仕事に励んでいる
- RKUの一番の魅力 頼れる先生方がいるところ!
- 高校生にひとこと 失敗して成功するので、何事にもチャレンジしよう!
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※掲載内容は取材時のものです。また学年は2015年6月現在のものを採用しています。