資料・調査

後期中等教育(高等学校)における障害のある生徒

「施設・設備・備品」「配慮」「制度的施策」「支援する人や組織」の現状




天野 栄一

大西  哲

佐藤 尚人

都築 一治



近年、日本の高等教育機関で学ぶ障害学生の数は確実に増加し、それぞれの障害の種類や程度も多様化している。とくにこれまで受け入れを拒否されることの多かった重度障害のある学生の受け入れも一部の大学を中心に進んでおり、各大学とも障害学生に対する対応を全く考慮せずに済む時代は過ぎ去ろうとしている。

 しかし現実には、具体的な障害学生に対する対応策を決めている高等教育機関は少数で、多くの機関は実際に障害のある学生が入学してから、個別的な配慮を行ったり、施設・設備・備品を整えたりと、障害をもつ個々の学生への対応に追われているのが現状で、他学部で障害学生を受け入れた経験や、その際に利用された施設・設備・備品の全学での共有などは、依然として大学全体の課題として残されたままのようである。

 ところで高等教育機関における障害学生の増加は、それ以前の教育機関における、つまり高等学校における障害のある生徒の増加を反映している。とくに従来は、盲・聾・養護学校など特殊教育諸学校で学ぶほかはなかった重度の障害のある生徒たちが、それぞれの地域の高等学校で学び、大学に進学してくるケースも増えてきている。いわゆる「統合教育」の進展、社会におけるノーマライゼーション理念の浸透、少子社会における大学の現状など、これには幾つかの要因が考えられる。しかしどのような障害のある生徒が、どのような形で後期中等教育機関(高等学校)に進学し、どのようなケアを受けて卒業してくるのか、それもまた不透明な部分が多いのがわが国の現状である。

 流通経済大学社会学部の教員で組織する障害者教育問題研究会が今回「後期中等教育(高等学校)における障害のある生徒」をテーマに、全国実態調査を実施した理由もここにある。高等教育機関(専修学校専門課程を含む)への進学率が6割を超えている中で、障害のある生徒の高等学校への進学・在籍・卒業を明らかにする意義は大変に大きいといえるだろう。

 本調査の基礎的なデータ集計は、すでに文部科学省科学研究費補助金の「研究成果報告書」の形で発表した。



平成12年度〜平成13年度 文部科学省科学研究費補助金(基盤研究C)課題番号 12610193 研究成果報告書 「後期中等教育(高等学校)における障害のある生徒」

平成14年3月25日 発行 流通経済大学障害者教育問題研究会

http://www.rku.ac.jp/~shomonken/highschool/index.html



今回はその「報告書」で掲載しなかった「障害のある生徒のための施設・設備・備品」「障害のある生徒への配慮」「障害のある生徒への制度的施策」「障害のある生徒を支援する人や組織」などについて、単純集計と地域別集計の一部を報告する。



目 次

1.本研究の背景と目的

2.調査の時期、内容と方法

3.障害のある生徒のための「施設・設備・備品」

4.障害のある生徒への「配慮」

5.障害のある生徒に対する「制度的施策」

6.障害のある生徒を「支援する人や組織」

7.地域別にみた「施設」などの配置状況

8.おわりに





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